施設生活で、少し暇を持て余して困っている様子のご利用者Aさんがいました。
ある日、介護職員Nさんがその方に掃除を一緒にしようとお手伝いを依頼しました。するとAさんはモップを持つなりキリッとした表情に変わり、一生懸命床を拭いてくださいました。
Nさんが側で見守りながら、時に「そこの端も拭いていただけますか?」と声を掛けると、その部分を丁寧に拭いてくださいました。気付くと周りの床を全て拭き終わっていました。
掃除を終えたAさんに御礼を伝えると、「いいのよ、別に」と笑顔でお返事くださいました。
私(看護師)はAさんがお掃除出来ることを知らなかったのですが、Nさん曰く「前はテーブルも拭いてくれたけど今は出来なくなってさ。やれることをやるのも大切なことだからね。」と。
私はNさんのAさんへの関わり方が素晴らしいと思いました。なぜなら、日常生活の中できちんとその方の日常生活動作(ADL)や認知機能を理解して寄り添っている。それに加え、何かが出来なくなったら次に出来ることは何かを考え実践していること。
私たちケア従事者は限られた時間の中で何が出来るかを日々悩む中で、Nさんの行動はお手本にすべきと感じました。
夢くらぶでは、ご自宅に帰るにあたり安心して暮らせるように、ご本人並びにご家族へ介護指導をしています。
今回は、吸引と胃ろうからの経管栄養(直接に胃に食事を入れる)です。
Iさんご夫婦。Iさんは83歳、奥様は79歳、お二人共実年齢よりお若い方です。
今回は奥様に指導をしましたが、2回目とは思えない動作と確認の声掛け、素晴らしかったです。
奥様に「良く出来ていましたよ」とお伝えすると、『慣れだね 慣れだね』と。
奥様の仰る通りなのです。
何事においても、最初は不安でもやってみると意外と出来るのです。
奥様に今回のことをホームページで紹介しても良いかお聞きしたところ、『同じ悩みの方もいると思うので良いですよ。わざわざ簡単な事で皆さん(医療従事者)に家に来てもらったりするの大変じゃないですか。出来ることは、やんないと。』
頼もしい奥様、その話を横で微笑むIさん。とても仲のいいご夫婦です。
今回の介護指導を通じて、介護とは何か? 改めて気づかさせていただきました。
ありがとうございました。