~ 理事長のブログ ~

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2021年01月29日(金)

愛されること

生まれてきた以上誰にでも来る最期、その最後の最期までいのちを支える仕事が私の生業。
「良い最期だった。人生だった。」「良い最期だったね。」と言える最期を迎えて頂きたい。
開業医は、いのちを支え切る、満足死を求めることが最大の目的となるでしょう。



満足死を達成すれば、「死んでも生きている」という世界が待っています。



死の三徴候、私たち医師は心拍停止、呼吸停止、瞳孔散大の3つをもって死亡確認をします。死の三徴候があるのならば、生の三徴候があるだろうと思います。生の三徴候、これをもって生きている、これを失ったら寿命だと思う三つは何だと皆さんは思いますか?

「死の三徴候」は医学的な定義です。「生の三徴候」は概念的なもので、人生観などが入ってきます。人それぞれに異なってくるでしょう。笑顔グループに来る、地域医療を学びに来る人々に必ず聞くことは、あなたにとっての「生の三徴候」とは何ですかと必ず訊きます。

私の「生の三徴候」は、
 1.食べること
 2.笑うこと
 3.愛されること



この3つ目の「愛されること」を説明することは簡単ではないです。
1997年、私の両親が亡くなった年です。また、マザーテレサが亡くなった年でもあります。マザーテレサのKeywordは「愛」。戦争も不幸だが、愛がない人も不幸だと言っていました。

ニュースを観ていたら、外国から来た女性がコロナで仕事を失い、ビザが切れて不法滞在状態となり、住むところも追われてしまいました。彼女は若くして乳がんターミナルとなるも医療を受けることができなく、がん性疼痛で苦しみ、独り街角でうずくまっていました。

その苦しむ姿を見つけた善良な市民がサポーターとなり、医療との橋渡しをし、出て行かなければならないアパートの整理整頓をしていました。アパートにはアルファベットで書かれた50音ひらがな表が貼られており、日本を愛し、日本を学んでいたのでしょう。



独りぼっちになってしまい、独り病に苦しみ、独りこの世から消えようとしていました。
入院した病院では、ペインコントロールし、ターミナルケアを受け、亡くなって行きました。彼女の最後の願いは、家族に会うこと。しかし、成就することができませんでした。

朝から涙がこぼれました。そして、今も思い出しながら涙が出てしまいます。
独りぼっちで最期を迎える。これだけは避けなければならないことだと思います。
しかし、このコロナ禍では最期のお別れができ難い現状となっています。



満足死を求める私は、このコロナ禍の中、どのような看取りをするのか問われます。
ビニール越しでも構わないと思います。アクリル板を通して、テレビ電話、オンラインでも構わないと思います。最期の触れ合う瞬間を作ることが大切だと思います。



愛されること、独りぼっちにさせないこと。


2021年01月25日(月)

幸せな広島風お好み焼き

我が家にはお好み焼きの文化は、恵方巻と同様にありません。
そんな我が家で、二度目の広島風お好み焼きを作りました。オタフクソースのYouTubeで作り方の予習をし、作ってみました。意外と簡単で、美味しいお好み焼きを創ることができました。



それにしても便利、画像で簡単に情報を得ることができますから。道の駅はなまる市場のキャベツをたんまり使い、千倉町の羽山商店の鰹節を入れ、金子半之助の天ぷらカス、もち豚のバラ肉を用い、ソバ、もやし、卵を用いて、当然最後はオタフクソースをたんまりかけて食しました。

ソバ、単品のソバは結構高くて手に入りにくいです。そこで用いたのがマルちゃんの焼きそばのソバです。マルちゃんは一流企業だと思いますが、意外と安く手に入りやすいです。オタフクソースにもジェネリック品がありますが、やっぱり、オタフクソースを用いてマヨネーズをトッピングしました。



次回のお好み焼きには、お餅を入れたり、チーズを乗せたり、キムチを入れてみたいです。
場合によっては、チョコレートを入れたらどんな味がするのだろうか。意外と旨いかも。
使う肉は、A5和牛でも鶏肉でもなく、やっぱり豚、豚肉でも豚バラに限りますね。

もう一つ、新しい武器を仕入ました。
白髪ねぎを作る「ネギカッター」です。100円ショップで買えるんですね。
白髪ねぎを包丁で料理すると大変。でも「ネギカッター」だと数分でできちゃいます。

ラーメンにトッピングするのも旨い。ラー油を入れてピリ辛に。
今回は、ゴマ油と薄っすら塩コショウを入れ、広島風お好み焼きに添えてみました。
お水に充分に浸さないと、ネギ臭さ、エグサが残ってしまいます。でも、これが良いかもね。



お好み焼き、卓上鉄板を囲んで家族団らん。美味しさが倍増します。
お好み焼き屋さんで食べる味と遜色なく、好きな材料をいくらでも入れ、好みでソース、マヨネーズ、醤油をかけ、自分流に工夫をして作れ、しかも安い。

「広島風?、大阪風?。」「具は何入れる?」「トッピングは?」「ソースは何にしようかな?自分でかけてね。」熱いものをその場で、みんなで楽しく食べる。最幸のスパイスでしょう。
その人らしさを復活させる、高齢者ケアの武器に使えるかもしれませんね。


2021年01月20日(水)

トシエさん

「自己決定の尊重」、自分の人生は自分で決めること。
人権を尊重する憲法の基本中の基本だと思います。 でも、「家に帰りたい!」と言いながら後方病院、後方施設へ、高齢者が地域から消えて行く今の日本です。虐待だと考えています。



そんな風に考えている私が反省させられる出来事が起きました。
トシエさん、パーキンソン病を患い、長年にわたり市川の診療所に通院していました。チーバくん、知っています?そのチーバくんのアキレス腱とお口の間を行ったり来たりしていました。

通院の問題、在宅酸素療法をしていた夫の介護の問題などで私が診るようになりました。
子供は3人、息子二人と娘一人で、東京、松戸など都会に住んでおります。子供たちは都会で活躍し、田舎では歳を取った両親が暮らすというよくある田舎パターンです。

互いに支え合った夫が亡くなり、トシエさんは独居生活をしていました。それを訪問診療しながら在宅ケアで支えていました。当然、いきかた宣言で、どこで生き、どこで逝きたいかを繰り返し尋ねていました。そしてトシエさんは、自宅での療養を希望していました。



自宅は、周りに畑があり、一人で住むには広すぎる家があり、バリアだらけ、天井が高くて風通しが良いので冬には寒すぎる環境でした。パーキンソン病という特性で、動ける時と突然動けなくなるOn-Off現象があったり、薬を飲み忘れるため、畑のど真ん中で倒れているのを発見されたりしました。

そんなこんなで、真冬の中、畑の中で凍死するなど生命の危機に陥る危険性が高いということで老人保健施設・夢くらぶに入所することになりました。みんなは安心したことでしょう。しかし、本人の希望とは違う施設療養に、私は敗北感を感じたのです。

施設療養になりましたが、ズ~っと夢くらぶではないです。月一度、都会で頑張っている子供たちと一緒に千倉の自宅に戻り、松永醫院を受診していました。月のほとんどを施設で、たまに自宅でというパターンです。施設にいるようないないような、自宅にいるようないないような状態です。

夢くらぶにいると、薬の飲み忘れはなくなり、一日三食温かい食事が食べられます。そのおかげで、歩行器で動き回り、栄養状態がよくなり、笑顔が増えて元気になりました。生活環境を整えるだけで、勝手に元気になりました。おそらく、自宅にとどまっていたら寿命はもっと短くなっていたことでしょう。

また、月一度自宅へ戻るために、都会で頑張っている子供3人が力を合わせて千倉に戻って来ました。親と子供がつながっています。大変だったと思いますが、月一度、親孝行をしていました。トシエさんも、また家に戻るために夢くらぶへ戻ることができたと思います。

土曜日の午前11時半過ぎ、松永醫院の閉店間際に現れることが多かったです。トシエさんを診察していると、息子は勝手に診察室に置いてある私の本を手に取り読み始め、美人の娘は高らかな声で笑い始め、バランスの取れたアンバランスな子供たちってな感じでした。

来るたびにおすすめのレストラン、惣菜などの料理を伝えました。そして、来るたびにその感想を聞きました。昨年のコロナ禍の中、お盆であったか都会から来た子供たちと家に帰ると38度の熱発をしたため、夢くらぶへ戻るに戻れなくなったしまった事件が起きました。

息子は仕事があるにもかかわらず、代わる代わるになりトシエさんを自宅でみました。自宅の畑の草むしりをしていた、スーパーに歩行器を用いながら買い物に行っていたと目撃されました。自宅での療養を心配していましたが、かえって普通の毎日が戻り、生き生きしていました。

自己決定の尊重、自宅で過ごしたいという当初の思いが叶えられませんでした。しかし、振り返ってみると、今回のような「ほとんど施設、時に自宅」パターンも良いものだと思います。本人の意思とは違う選択を取ることになりましたが、結果オーライで取り返しはきくものですね。



私は、火曜日の午後、館山にある老人保健施設夢くらぶへ行くようにしています。トシエさんは、私を見ると歩行器を横にどかしながら立ち上がり、歩いて来ようとします。私と会うと興奮して大変になるから来ないようにとまでスタッフから言われたことを思い出します。

そんなトシエさん、下痢をして夕方から血便が出ているという情報が夜7時過ぎに夢くらぶから入りました。食欲もあり、元気もそこそこあり、入院するとベッドしかないから寝たきりになる危険性があります。そんなことを美人の娘と電話で話し合い、夢くらぶで様子を見ることにしました。

その翌朝、トシエさん、空を飛ぶシャボン玉が壊れて消えるようにポッと逝ってしまいました。
私の読みが甘かったです。。。ヘッポコです。反省します。
開業医としては辛いです。お悔やみ申し上げます。



トシエさん、トシエさんの家族から学ぶことがありました。
子供たちは、精一杯親孝行をして来たと思います。夢くらぶのスタッフにも感謝したいです。
もう会えないトシエさん、でも、私の心の中に今でも生きております。


2021年01月08日(金)

2021年始まりの誓い

2021年の当面の目標は、年賀状を書くこと。そして、来年は年内に思いを込めて書くこと。
毎年、毎年、毎年、同じ目標を作っているような気がします。人間って、弱い動物です。
現在も、2021年年賀状を制作している最中。もうちょっとで届きますからね。おそらく。



Microsoft(MS)のメールソフトOutlookを使っているのですが、パソコンの勝手の自動更新で勝手にクラウド上に情報が蓄えられているようです。その内にメモリー容量を超えて課金されるだろうと思いパソコン内で管理しようとしたら、メール停止してしまいました。

MS、知らぬ間に課金し、金儲けをしようとしているのだろうか。それに逆らうと、パソコンが動かなくなるようになっている。恐るべし、MSなり。また、パソコン、ソフトなどがうまく動かなくなった場合に、相談し、きちんと解決する窓口がないことを知りました。

プリンターも、せっぱ詰まって使おうとしてもウンともスンとも言わず立ち往生状態になりました。急いでいるときほど焦って、解決方法を見失ってしまうようです。パソコンもプリンターも動かなく、今年の年賀状は止め!と思っている私の横で、ココロがせっせと年賀状を書いています。

まあ、今年もとにかく年賀状を出す。。。そう思い、今日も5時前に起き、プリンターに向かうも動かない。再起動させたり、アンインストールしインストールし直し、いろいろなプロパティーを調べても、パソコンとプリンターが連動しません。朝から疲れだけが残ります。

ハァ~、いやになっちゃうな。
結局、プリント中にソフトが混乱し、5分の1ほどが印刷できていません。
印刷できない年賀状が5分の1、ゴメンナサイ。来年はちゃんと届きますからね。



もう一つの誓い、「節酒」です。去年も誓ったような気がします。
「まあ、とりあえず、チョビっとだけ一杯!」と昨年は言っていたような気がします。
陽が昇っている間は呑まないと決めていますが、陽が暮れるのを待っていた感もします。

昔はボトル2本を飲めましたが、今はボトル1本飲むとヘベレケ。寝落ちします。
お酒を飲むと軽度認知機能障害に陥り、プレ認知症状態となってしまいます。
時間的余裕のある週末に、家族で、自宅にて、ボトル1本をご主人様と一緒に乾杯しよう。



日中の診療時間内は多忙で、メールチェック、LINEチェックすることもできないぐらいです。
朝8時からの外来開始から、午後6時までの閉院までやること満載です。昼休みには、訪問診療などの在宅医療を提供し、施設診察し、老健夢くらぶ、行政へ行き、休む暇はないです。

松永醫院の診療が終わっても、介護保険の医師意見書作成、その他の書類作成、情報提供書、紹介状を書いたり、安房医師会理事会、介護認定審査会などに参加したりします。
そして、時間がチョッとある場合にはサンキュージョギング、コロナ越えジョギングを走ります。

仕事に追われるという表現になるでしょうか。でも、これだけでは良い仕事をしているとは言えません。今だけを守るだけでは足りなく、未来を創ることも大切です。いろいろなことを想像し、工夫をし、そして創造し、実現させることが大切です。夢を描くことが大切です。

そのためには自由な時間が大切になるでしょう。




私はグータラで、何もせずにボ~っとすることが大好きです。特に海を見ることが好きです。
でも、何もせずに1時間ほど時を過ごすと何もせずにはいられないという衝動に襲われ、全力疾走で垂直登攀し始めるのです。大きくジャンプする直前の、エネルギーをためておく充電時間でしょうか。

何もやることがないから暇になり、仕方なく妄想し始め、考えまくる時間に変わって行きます。
この豊かな自由な時間を捻出するためには、何もすることのない時間を作るしかありません。
アルコールを飲むと、寝落ちして、豊かな自由な時間にたどり着くことができません。

だから、「豊かな時間にたどり着くために、節酒し、未来を考え、夢を膨らまそう」
と思うのが、2021年始まりの誓いです。
人生のKeyword「夢」、そのためのKeyword「節酒」。「断酒」ではないですからご注意を!


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