~ 理事長のブログ ~

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2020年02月28日(金)

新型コロナウイルス感染クライシス

新型コロナウイルスをコントロールするために、不要不急の不特定多数が集まるイベントが中止となっています。 研修会、週末に開かれる学会などがことごとく中止となり、急に特に週末、暇になってしまいました。 東京医科歯科大学の久しぶりの同窓会も中止となりました。

2009年の新型インフルエンザウイルス感染を思い出します。インフルエンザ、冬の流行感染症と思っていましたが夏場も流行りました。お札のやり取りでも、窓越しでもうつるなんて噂が流れました。ちょうどその時、私は安房医師会の公衆衛生担当理事で右往左往していました。

インフルエンザ感染症であるかどうか簡易キット検査をし、抗インフルエンザ薬を処方するために発熱センターを設置しようとしていました。簡易キット検査と薬をもらうためには医療機関に行き、診察をしてもらうことが必要でした。

今回の新型コロナウイルス感染症、簡易キット検査はないし治療薬もない。病院に行く意味合いがないどころか、病院へ行ってしまうと逆にうつされてしまいます。病院へ行っちゃダメなのです。食欲があって、軽症であれば、自宅で体を冷やさず、水分補給をして、療養することが大切です。

中国武漢の病院の待合室、いたるところに咳込んだ患者さんが横たわっているので健康な人が行ってもうつされるだけ。病院自体が感染源となっています。そして、コントロールできない流行爆発が起こり、きちんとした治療もできなく死んでいく市民が多数生まれました。

ウイルス感染症には、空気感染と直接飛沫・接触感染、とがあります。空気感染は空気中をウイルスが漂い、同じクラスの席が離れた同級生にも感染する状態です。それに対して、直接飛沫・接触感染は唾などの体液が関与し、距離と時間と体液が関係することになります。

今回の新型コロナウイルスが空気感染だとすると、国民は免疫がないので一気に感染爆発が起きて大変な状況になるでしょう。しかし、現実にはそこまで悲惨な状況になってはいないので、空気感染ではなさそうです。

直接飛沫・接触感染、濃厚接触者としては距離と時間が大きなファクターとなります。
距離では、咳で唾が飛び散る距離2メートル、手と手が触れる距離2メートルが一つの目安となります。あと、時間では、30分以上接触しているかどうかが目安になります。

今回のダイヤモンドプリンセス号のことで、エアロゾル感染症という初めて聞く感染方法を知りました。締め切った空間で、長時間ともに過ごすと感染するというルートです。
1月中旬の屋形船での会食が原因で未だに感染が起きているのは、このためだと言われています。

新型コロナウイルス感染症、直接飛沫・接触感染が主な原因、とくに接触感染が強く疑われています。マスク、うがい、手洗いの予防策を行い、長時間、閉鎖された空間に留まらない。マスクを外し、みんなと一緒になる会食は避け、バイキングには行かないことが大切でしょう。

中国から日本に持ち込まないようにする水際対策は終わり、すでに市中感染状態、日本の中に入り込んだ状態となっています。でも、どこで感染したかのルートをどうにかたどれることが多いです。まだ、蔓延している状態ではないです。

私の知っている感染症専門医が、現状を次のように言っています。地下はマグマで熱くなっている濡れた土の上に、枯れ草が置かれた状態。一部乾いたところの枯れ草が燃えだし、それが回りにいつ広がってもおかしくない状態だと言っています。

毒性はインフルエンザより少し強い程度。子供たちが死ぬことはほとんどないとのこと。
なのに、まだ新型コロナウイルス感染が起きていない地域も含め全国一律に休校を安倍総理大臣が昨日要請しました。間違っているとは思いませんが、適切ではないと考えています。

新型コロナウイルス感染の最大の恐怖は、80歳以上の高齢者の致死率が15%と異常に高いことです。高齢者がかかると死んでしまう病気です。私のミッションは、高齢者の命を守ること。このクライシスをどのように乗り越えていくのか、知恵を総動員しながら努力します。












2020年02月20日(木)

吠える

年1回、私は吠えます。笑顔グループのスタッフ全員に、私の考えと思いを伝えることにしています。 かつて来た研修医の先生が、私の思いを全てのスタッフに語るべきだとアドバイスをいただき、素直な私は実行しています。今年で15回目ほどになるでしょうか。



笑顔グループのスタッフの人数も毎年増えて老人保健施設夢くらぶの一番大きいオープンスペースに収まり切れなくなり、なんと今年は、南総文化ホールという安房地域で最も大きなホールで私は吠えました。ただし、大ホールと小ホールがありますが、当然小ホールです。

笑顔グループのスタッフの数、私は把握していないのですが、2019年暮れの忘年会では150人弱ほどが出席しております。夜勤で出席できなかったスタッフもいますので、笑顔グループのスタッフ総数は180人ほどになるでしょうか。増えました。

介護の世界、今一番不足しているのが人材であると言われています。
施設を作っても、スタッフが集まらず、オープンができないと。
そんな中、笑顔グループには気合の入ったスタッフが集まってきています。有難いです。

なぜならば、私たち笑顔グループが提供しているチームケアはスゴイからだと思います。
おそらく、すでに、笑顔グループのチームケアは、日本一、地球一になっていると思います。
だから、良いケアを学びたい、良い仕事場で働きたいからと、スタッフが集まってくるのだと思います。

でも、もっともっと、良いチームケアに進化することができると思う。
進化×深化×新化=真価
そのために、努力し続け、工夫をしまくり、地域の人のために私たちは頑張ろうと思います。

そんな思いを、年1回、年の初めに、スタッフ全員に私の思い、考えを語りました。
人それぞれの正義で動くとバラバラになり、良いケアを提供することはできません。
トップの考えを伝え、各スタッフが理解しないと、無色透明のゴチャマゼケアを提供できません。

南総文化ホール小ホール、話す私の方も、聴くスタッフも、ともに気持ちが良かったようです。
まず、座り心地が良い。次に、階段状になっているので見えやすい。
そして、柱がないので死角がなく、身をよじってみる必要がないからです。

南総文化ホール小ホール、これから使うことになるでしょう。
定員が300名となっていますので、まだ、まだ、余裕があります。
どうでもよい目標、大ホールは定員1000名ほどですので大ホールを目指そう。。。



新型コロナウイルス感染症、知識を持って準備しよう。
若い人は大丈夫。問題は、高齢者。80歳以上です。
それにしても、ダイヤモンドプリンセスの感染拡大は日本の恥だと思う。

2020年02月17日(月)

α、β、γ

2月16日、母の命日です。母が亡くなり23年、早いものです。
あの日のことを思い出します。あの日は今回と同様の日曜日、母の見舞いで東海大学付属病院へ行きました。 すると、突然、目の前で母が心肺停止状態となりました。

バタバタ、看護師や医師が集まってきて心臓マッサージが始まり、心肺蘇生し、ICUに移動し、人工呼吸器につながられました。一体何が起きたのかよくわからず、絶対に起きてはならない母の死を回避するために、家族として、医師として必死に母の側についていました。

時間が経つたびに状態が悪化し、エコーにて腹水を認め、ダグラス窩穿刺をしてみたら便臭がします。助かるためにはイチかバチかで開腹手術をするしかないと決断しました。
日曜日の夕方、胃がんの内視鏡下切除術で有名な外科・幕内教授が執刀し手術が始まりました。

私の妹は外科医、東海大学外科に入局し、幕内教授のもとで研修をしていました。
幕内先生、日曜日でありながらも大学病院に来ていただき、負け戦とわかっていながらも敢えて手術してくださり、母は開腹した瞬間に再び心臓が止まり最期を迎えました。

外科医にとって術中死は最大の恥です。しかも、病院にとって手術成績がマイナスとなります。
そんな中、死に行く母を受け止めることができない私たちは母を救命するためには手術しかないと決断し、それをくみ取ってくれた幕内先生が無理をしてくださいました。

幕内先生が私たちに言った一言、「気が済んだか」。その言葉で、我に返りました。
負け戦とわかっていて、手術して下さった幕内先生に感謝します。
日曜日の夕方の大切な時間に病院まで来てくださった幕内先生に感謝します。

母の死亡原因は、TAO Thromboangitis Obliterans 閉塞性血栓性血管炎という腸の梗塞です。
橋本龍太郎元総理大臣もこの病気のため68歳で亡くなりました。血栓がシャワーのように腸全体に飛び散り、腸の血管が詰まって、腸が壊死したのです。どうしようもない状態です。

絶対に起きてはならない、私が尊敬して愛していた母の死が、目の前に現れました。
唯、茫然とするだけ。。。どのように千倉に戻ったのか、よく覚えていません。
母が死んで10年、思い出すだけで涙。母が死んで20年、人に話すことも辛かったです。







この週末、2月16日(日)、久しぶりに3兄妹家族が集まりました。
いつでも集まれると思い、数年来の3家族の集合でした。やはり親が生きていれば年数回は集まりますが、親が亡くなると集まる理由が減り久しぶりでした。

みんなが集まると、みんなの成長を感じ、松永家のルーツを肌で感じ、なんとなく安心できます。年1回は努力して、集まる必要性を感じました。
集まって近況報告をし、未来を語る。これからも続けて行きたいと思います。

私の名前は「平太」、次男。α、β、γのβから取った平太。
そんなα、β、γが集まり、バラバラになって松永家のお墓参りに行きました。
仲の悪い?兄妹がそろい、仲良く過ごした週末でした。




2020年02月03日(月)

がん教育

私は、安房医師会において学校保健担当理事となっています。
最近、学校という教育の場で「がん教育」という言葉をよく耳にするようになりました。
その「がん教育」の意義を、学校保健担当理事として千葉県医師会まで勉強に行きました。



千葉には「まちっこプロジェクト」というものが松戸で動いています。
人それぞれに夢や正義をもっており、自民党と共産党、野球とサッカー、巨人と阪神のように志向性で争うことがあります。 しかし、子供のためにということは全ての人の共通目標となります。

Child to Child:手洗い、マスクの重要性を伝え、家に帰ったら弟、妹にも教えてね。
Child to Parent:タバコは百害あって一利なし。親が吸っていたら止めようと伝えようね。
Child to Community:子供たちには地域をよくする力があるんだ。それを引き出そうね。



そして、松戸 Child to Community Project を「まちっこプロジェクト」と名付け、松戸医師会が中心となり学校、教育委員会、行政、PTA、市民を巻き込み、ゴチャマゼになりながら、子供たちに命の授業を行い、命の大切さ、健康の有難さを伝え、地域を変えて行こうという取り組みをしています。

松戸の「まちっこプロジェクト」、私の大学の一つ先輩である川越正平先生が中心となってすすめています。体の仕組み、認知症、高血圧症などの病気を教え、歳を取り、老いて、枯れて死んでいくいのちの流れを伝えています。命の授業です。

やりっぱなしではなく、命の授業の前後でアンケートをし、地域が変わって行く結果を出しているようです。また、命の授業のマニュアルもあって、授業を行う内容の質も担保されています。同じ取り組みを希望される医師会があれば、出張講演までしております。スゴイですね。



「がん教育」、最近よく聞くようになった言葉です。認知症や老衰などのほうが長期化し易いし、複雑で個別性が強く、社会的問題もはらんでいます。だから、がんだけをなぜ今更クローズアップするのだろうかと思いつつ、千葉に「がん教育」の勉強に行きました。

講師は東京女子医科大学がんセンター長の林和彦先生、約1時間半のお話があっという間に終わりました。林先生が中学生の時に、大好きな歯医者でもある父がスキルス胃がんで亡くなるという当事者の経験談も説得力がありました。

父が亡くなる1週間前に母から父の病気のことを告げられましたが、しかし、何も父にしてあげることができなかった。悲しみと憤りしかなかったそうです。子供はなぜがんのことを知ることができなかったのか、それががん教育の原動力となっているそうです。

子供たちは死から遠ざけられ、死ぬ瞬間を見ていない。死ぬイメージができていないのです。
だから、子供たちは簡単に「死ね!」という言葉を口にしてしまう。
だから、生命観とか死生観とかが醸成されない。



がんになる人は年間101万人、がんで亡くなる人は37万人。
がんになる男性は62%、3人に2人です。がんになる女性は47%、2人に1人です。
がんになる人は2人に1人。がんになるとみんな驚きますが、Common Diseaseなのです。

がんになる人は2人に1人、夫婦二人いればどちらかが必ずがんになります。
がんで死ぬ人は、3人に1人です。つまり、100人の村があると、50人ががんになり、34人ががんで亡くなることになります。その差の16人が、がんサバイバーとなります。

このがんサバイバーをたくさん作ることが、私たち医療者のミッションです。
かつて、がんは死ぬ病気。でも、今は、がんは助かる病気になりつつあります。
症状が出る前に見つければ助かるのです。つまり、がん検診をすれば助かるのです。

しかし、日本のがん検診率は非常に低いです。アメリカの半分ほどでしょうか。
アメリカは医療費が高く病気になると自己破産するので、自分を守るためにがん検診を受けるそうです。それに対して、日本は「まさか自分ががんになるなんて!」と驚く国です。

子宮頚部がんを罹患する20代、30代の女性患者が増えています。パピローマ感染症です。
パピローマワクチンがありますが、私は薦めていません。ワクチン接種したごく一部の女の子が、全身痛が起こり寝たきり状態となるからです。死ぬよりも辛いかもしれません。

現在、パピローマワクチンの裁判係争中で、結果が出るまでは積極的推奨にはならないと考えています。今の段階で大切なことは子宮頸がんのがん検診をきちんと受けることです。
しかし、この子宮がん検診を受ける受診率は非常に低く、若い命が消えて行っています。



「がん教育」、子供たちに命の大切さ、健康の有難さを伝えることです。
また、死ぬことの意味合いも勉強します。
「死」を考えると、その向こうにある「生」が見えてきます。

がん、かつては死ぬ病気。今は助かる病気。ただし、がん検診を受けていればの話です。
現在のがんの5年生存率は、65%。3人に2人は助かるということです。
子供を通じて親に、がん検診の大切さを伝え、がん検診を受けるよう伝える。

命に優しく、心豊かな、幸せを感じられる国・日本になってもらいたい。
そのためには、教育が大切です。教育は未来を創る大切な国家プロジェクトです。
今の日本は豊かになっておらず、幸せを感じることができていません。教育の失敗だと考えます。



「がん教育」は、子供を通じてがんを切り口に命の大切さと健康の有難さを各家庭に伝え、変容させ、地域も豊にさせ、国までも変える国家プロジェクトです。そして、がんだけにとどまらず、生命に神秘さ、認知症などの病気を通じて幸せを感じる国・日本へ導く国家プロジェクトだと期待します。

「がん教育」が始まります!


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