~ 理事長のブログ ~

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2019年02月21日(木)

PHOENIX 長縄先生

私は、おそらく、変わった医者です。だから、私が尊敬する医師はほとんどいません。
私は、普通では無い医者、ただし、バランスのとれたアンバランスな医者です。
そんな私が、20年以上前から尊敬し続けている医師がいます。長縄伸幸先生です。



私の大好きなナンチャッテ学会、「在宅ケアをささえる診療所市民全国ネットワーク」というNPOが開く全国大会にほぼ毎年参加してきました。その中で、自分の思いを語る長縄先生のお話には説得力があって、その思いを実践してきた行動力を尊敬しています。

「オモイ」を「カタチ」にして来たのです。制度も何もないころから、こんなサービスがあったら人々はハッピーになるだろうと思うと、採算度外視でカタチにして来た行動力にアッパレです。そして、長縄先生の足跡の後から制度ができ、時代の先取りをして来たのです。

長縄先生が一体どんな医療を実践しているのか気になり、とうとう長縄先生の実践の場を見学に行きました。岐阜県各務原(かがみはら)市という、名古屋駅から名鉄に乗り換えて約30分チョッとに位置する街です。トヨタの工場があり、経済的には豊かな街だそうです。



みなさん、岐阜という漢字、チャンと書けますか。私は、もちろん今は書けます。
でも、岐阜の岐という漢字も、阜という漢字も、岐阜以外に書いたことがありません。
岐阜、海に面していない県。その岐阜で3番目に大きい街が各務原(かがみはら)市です。

長縄先生、私の未来を行き、やって来たことの質、量とも私の数段上を行っています。

私が100床の老人保健施設・夢くらぶを作った10年前には150床の老人保健施設を作り、
私の思いが現場のスタッフに届くようにCREDOを作りましたが、長縄先生、すでにその10年前には作っていました。認知症のコウノメソッド、すでに本まで書いています。



私のところを笑顔グループと名前を付けたのですが、その10年以上前に長縄先生はフェニックスグループと名前をすでに付け、ロゴマークも何となく似ています。スタッフの人数も私の所が200名弱に対して、長縄先生のところは500名弱と倍以上います。

流れる石です。

病院のような立派な建物に、二つの有床診療所(19×2=38床)を作り、それぞれの有床診療所に20床の老人保健施設(20×2=40床)を併設しているという前例のないクリニックを作りました。合計クリニック38床+老人保健施設40床=78床の医療施設です。

しかも、既存の150床の老人保健施設も新しい20×2=40床の老人保健施設も超強化型在宅支援老健と認定されており、高齢者を元気にして在宅復帰させています。
長縄先生から学んだ大切なお言葉「ココロを動かす」「ココロに働きかける」。忘れません。

地域にもくい込んでいます。地域の自助力を向上させようとメディカルフィットネスを含む健康増進施設を作っております。地域の互助力を醸成させるために「男組」という地域の茶の間なども作っております。



いのちが豊かになり、みんながハッピーになるために、沢山の試みをしてきました。
地域密着型特別養護老人ホーム、グループホーム、デイサービス、デイケアなどの地域で生き切ることのできるツールを作り、いのちの始まりをみる保育所も作りました。

これから障害者施設を作るそうです。孫に残すべき豊かな街作りをしているのでしょう。
長縄先生から教えていただいたこと、行政と仲良く協働すること、医師会とケンカをしないこと、自分の夢の実現のために突き進むこと。です。

長縄先生のご子息は3人、男、男、女の3人で全て医師になっております。
小さいころから父の背中をみてきているのでしょうか、自ずから息子2人が各務原に戻り父を手伝っておりました。横から少ししか見ていませんが、丁寧な診察をしておりました。

長縄先生の進む方向と私が進んでいこうとする方向は、ベクトル一致しております。
当然のこと、長縄先生の方がベクトルの太さと長さは圧倒的に大きいです。
そして、長縄先生と私との違いは在宅という意味を、長縄先生は地域に比重を置き、私は自宅としていることでしょうか。

フェニックスグループの見学、午前4時半に千倉を出発し新幹線を使った一日研修でした。
午前中でサラッと終るのかと思いましたら、長縄先生が一日私たちにお付き合いし各施設を案内していただきました。最期には自宅でお茶までした貴重な一日となりました。感謝。

何よりも素晴らしいことは各スタッフが長縄先生の思いを共有しながら、歯車だけでなくモーターにもなり、笑顔で働いていることです。野球型でなくサッカー型のチーム医療、チームケアを目指しているという言葉が疲れた身体にしみ込んで行きました。



「わが・丸」の吉田さん、有難うございます。吉田さんの活躍する場がドンドン膨らみますね。
大きい病院からヘッドハンティングされたNs中山さん、目の前には岐阜にない大きな海原が広がります。スモールドクターを目指すのではなく、市民に寄り添うケアをしたいですね。

最期、一緒に見学に行った嶌田くんと名古屋駅で食べた名物・味噌煮込みうどんで腹一杯。
PHOENIXのみなさまに、一日お世話になりました。本当に有難う!ブドウ糖!


2019年02月15日(金)

SERENDIPITY

人生は、偶然の出来事が積み重なり、流れていきます。
一見、偶然と思いますが、振り返ると必然の流れの結果だと思うことが多いです。
運命的な出会いというのでしょうか。

また、私のスタッフが幸せになりました。嬉しい限りです。
「嬉しい」、女性が喜び幸せになる言葉。
ミホさん、おめでとう!


2009年、松永醫院がリニューアルオープンになる時、ケアスタッフとして来てくれました。
ミホさん、直前はライフセーバーの仕事をしての松永醫院応募でした。
その頃のミホさんは、プチプチかわいい女の子でした。美人です。

父親の気持ちになっていた私は、ミホを変な男などにわたさない!っと思っていたのです。 初めて結婚式で会った夫、カッコが良く三浦大地に似ていました。 安房高の後輩であり、甲子園を目指し大学まで野球を続けた根性男であり、今は少年野球を通じて地域貢献をしています。


人生の目的、幸せになること。
私のスタッフが幸せになることに勝るものはなし!
とくに、ミホさんのお母さんの嬉しい笑顔が忘れられません。

Serendipity
偶然という日本語の意味があります。
ふとした偶然で、幸せをつかみ取ること



一見偶然と思われることも、後から振り返ると必然的なことがあります。
なぜ、私がご主人様と出会えたのか。
不思議なものです。運命的な流れがあるのでしょう。

ミホさん、幸せな家族を作ってください。


2019年02月12日(火)

地域包括ケアの推進4・自己決定の尊重と覚悟

本日、千葉県の公立高校の受験日です。
みんな、がんばれ!



人生において大切なことは、「努力」と「野心」だと思う。
天才とは、努力して努力して努力しまくり、誰もそれを止めることができない人。
ただし、本人はそれを努力とは思っていない人。そういう人のことだと思う。

そして、人生のKeywordは「夢」。
どんなに辛い状況に置かれても、「夢」を語っていれば未来が開かれて行きます。
何歳になっても「夢」を語る人でいたいですね。

現在、地域包括ケアの推進のための思いを安房医師会メーリングリストへ投稿しております。その同じ内容を、みなさまにもお裾分けしますね。



【「自己決定の尊重」という「覚悟」】

地域包括ケアとは、望むところで生き切ることのできるケア。くどいですけど伝えます。
ほとんどの高齢者は、やはり最期は住み慣れた自宅・地域で家族友人に囲まれながら、その人らしく生き切ることを望んでいます。つまり、地域包括ケアの推進は在宅死亡率が目安になります。

現在の在宅死亡率は13%、その中には入浴中の極楽死などの異状死が含まれていますので、在宅見取り率は約8%となります。自己犠牲しながら便利で豊かな日本を作ってくださった高齢者が、望むところで死ねるのはごく一部です。これでいいのですか。マズイ!

デンマークでは1970年代から地域包括ケアが推進され、1982年には高齢者ケアの3大原則が打ち出され、施設が解体されて行きました。デンマークでは当たり前のように地域包括ケアができているのに、日本では全く広がっていない。これでいいのですか。マズイ!

本当にこの安房地域で地域包括ケアを推進させようと思うのなら、安房の高齢者ケアの原則を創り、その原則に従い全てのケアを提供するという強い「覚悟」を持つ必要があります。
その最大の原則が「自己決定の尊重」、自分の人生は自分で決めるということです。

安房の高齢者ケアの3大原則を、デンマークと同様にすればよいと思っています。
 1.人生の継続性を尊重する
 2.自己決定の尊重
 3.残存能力の活性化

しかし、施設がたくさんある現状を考えれば、安房地域における高齢者ケアの原則を
「自己決定の尊重」であるという強い覚悟を持てば、自ずと地域包括ケアが実現できます。
「自己決定の尊重」という強い覚悟を持つ、私達安房医師会が主導することが大切でしょう。


2019年02月08日(金)

地域包括ケアの推進3・デンマーク

一日32時間、365日、患者さんのいのちを守ることが開業医のミッション。
だから、サクッと千倉へ戻れるところにしか行かないと決めていました。
それが、日帰りのできる日本国内であり、旅行も1泊多くて2泊と決めていました。

約2年前の3月、デンマークへ1週間の視察研修に行きました。夢の夢が実現。
そんな私が海外旅行というより海外視察へ行けたのは、玲奈先生とご主人様、そしてスタッフのおかげです。 私のいない1週間、松永醫院を死守してくれたのです。





デンマークで学んだこと、新たなことを学んだというより、私が考えていたことが間違っていないと確信できたことです。
人生の目的は、幸せになること。それを実現させているデンマークを知ることができました。

現在、地域包括ケアの推進のための思いを安房医師会メーリングリストへ投稿しております。その同じ内容を、みなさまにもお裾分けしますね。

【世界一幸せを感じる国・デンマーク】

寝たきり老人のいない国がある。
施設もない国がある。
しかも、世界一幸せを感じている国である。それはどこの国でしょう。



ちょうど2年前、そんな国・デンマークへ1週間行ってきました。
寝たきり老人がいないなんてウソ、どこかに隠しているにちがいないだろう。
施設がないなんて、一人では過ごせない人は一体どこで療養しているのだろうか。

給料の半分を税金でもっていかれ、残った給料の半分で25%の消費税を支払い、笑顔で幸せに生きている。 オープンサンドとビールで4000円とメッチャ物価が高いのに・・・。
不平不満を言うことなく、笑顔と信頼と納得の国デンマーク、その現場を見てきました。



子ども達は18歳を期に家を出て行き、夫婦二人暮らしになります。 夫婦二人が歳を取れば、高齢者夫婦世帯となり、パートナーが亡くなれば高齢者単独世帯となります。 それでも自宅で過ごすか、独りでは寂しいから自宅近くのケア付き住宅へ移るかは自分自身で決めます。

本人が望めば自宅のある、エレベータの付いていないビルの3階に住み、思い出の詰まった写真や飾り物に囲まれながら、外出することもなく、週末に子ども達家族が来るのを唯一の楽しみにして、福祉サービスを毎日2~3回用いながら人生を終らせています。



独居死、当たり前です。95歳の認知症の独居おバアちゃんの笑顔の素晴らしいこと。
「寂しくないですか?」と質問すると「そりゃ、寂しいよ!」と答える。
「独りボッチでいいの?」と質問すると「これでいいの!だって、自分で決めた人生だから」

 デンマークにおける高齢者ケアの3大原則
  1.人生の継続性を尊重
  2.自己決定の尊重
  3.残存能力の活性化

人生、生きてきたように死んで行く。
自分の人生、自分自身で決めていく。
自分のことは自分で行い、やれることはやる。

いたって当たり前の高齢者ケアの3大原則。なのに、日本、おかしな国。

人生最後に 老いぼれ人生が待っている日本。
自分の人生なのに、不安におののく家族の声しか聴かない日本。
至れり尽くせりのケアで、ア~っという間に歩けなくなってしまう日本。

独居でも、認知症であっても、住み慣れた地域で最期まで生きることができるデンマーク
自己決定の尊厳、自分の人生は自分で決めるデンマーク
そのデンマークから学ぶことで、地域包括ケアを推進させるヒントが見つかります。


2019年02月04日(月)

地域包括ケアの推進2・地域医療とは地域へ優しく突き返すこと

節分、みなさんはどの様にお過ごしになったのでしょうか。
恵方巻き、東北東を向いてかぶりつきましたか。
私の住んでいる千倉町平舘地区、節分のお祭りがあり、外れ無しのくじ引きがあります。



我が家の節分、豆まき散らし、歳の分だけ食しました。ご主人様、現在25歳だから大豆を25個食べて、私お父さんは28歳だから大豆28個食しました。今の豆、芳ばしくて美味しいです。そして、ご主人様が昔から行っている伝統のお菓子投げ、娘共々燃え上がりました。



現在、地域包括ケアの推進のための思いを安房医師会メーリングリストへ投稿しております。その同じ内容を、みなさまにもお裾分けしますね。

【地域医療とは、地域へいのちを優しく突き返すこと】

もう一度述べます、「地域包括ケア」とは「望むところで生き切ることのできるケア」です。
つまり、地域包括ケアの推進とは在宅看取り率を上げること、在宅死亡率を上げることです。
しかし、在宅死亡率はまったく上がっていなく、地域包括ケアが広がっていない病識を持つことが大切です。マズいです。

医療とは、いのちを守り、生活、人生を守り、尊厳を守ることです。
いのちを助け、いのちを元気にし、いのちを輝かせることです。
そして、地域医療とは優しく地域へいのちを突き返すことです。

昔はいのちを助ければ、元気になり、「有難うございます」という言葉が待っていました。
なぜならば、患者さんが若かったからです。
今は超高齢社会、いのち助かったけれど体と頭が壊れちゃったという高齢者が沢山います。

病院はいのちを助けるところです。いのちを元気にしたい思いを持つことは大切ですが、ベッドの上で食事を摂りながら弱っていく高齢者が問題となります。ベッドの上では元気になれません。入院期間が1ヶ月以上経ってしまうと不可逆的な廃用症候群が進行します。

「寝食分離」寝るところと食べるところは完全に分けること。
「日中離床」寝床は夜に休養を取るところで、日中は寝床から離れて過ごすこと。
この医学の諺、とっても大切です。超高齢社会においてはなおさら絶対遵守すべき鉄則です。

急性期病棟で2時間リハビリを行い、残り20時間以上ベッドの上で過ごす高齢者は元気になりますか?元気になる高齢者は、早めに自宅へ退院しても元気になっているでしょう。
問題は、元気にならない高齢者です。高齢者のリハビリには、時間負荷が大切なのです。

「病院の務めは、いのちを助けること」 これだけでは足りません。
「病院の務めは、いのちを助け、家に帰すこと」Post Hospitalを意識することが大切です。
「地域医療とは、優しく自宅へ、地域へいのちを突き返すこと」です。

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